【ドリーマーとロスト】最後の電話
当初、彼女の死因について拭いきれない思いがありました。電車との接触事故で亡くなったと聞いたにも関わらず、彼女は自ら死んだのではないか…そんな考えが捨てきれませんでした。その考えの元になったのは、
「彼女からの最後の電話」
でした。夏休みで帰省中、福岡に居る私の携帯に、彼女からの着信がありました。…すぐにかけ直さなかったことは、今でも後悔しています。結局彼女が電話で私に何を伝えようとしていたのか、知り得ることが出来ないまま、彼女は亡くなってしまったからです。
そして、もう一つ。
彼女は私のマイミクシィでした。ミクシィ=mixiとは、当時よく利用されていたSNSです。マイミクシィとはmixi内での友達のこと。私が東京の彼女の友人に彼女が亡くなったことを知らせることが出来たのも、このmixiのおかげでした。しかしその際に疑問に思ったことがありました。彼女には何人ものマイミクシィがいたにも関わらず、彼女が亡くなってmixiを開いた時にいたマイミクシィは2人だけ。
私と、当時彼女がよく話していた女の子のお友達だけでした。
単純にもう話したくないとか、喧嘩をしたとか、そう言った具体的な理由以外にも、マイミクシィを切ることはあります。
"分かってくれる人だけでいい"
そんな心の状態で関係の浅い、もしくはネットだけのマイミクシィ=友達関係を断つことは簡単で、当時はめずらしいことでは無かったと思います。
しかしなぜ彼女は、学校の親しい友達と、私を切らなかったのか…友達のままでいてくれた嬉しい照れくささもありましたが、
生前何か悩みを抱えていたんじゃないか
私に何か相談しようとしていたんじゃないか
勝手にそんなことを思っていました。
そして、
「あの時電話に出ていれば…」
「彼女の異変に気付ければ…」
彼女は自殺だったに違いない、…その何の根拠もない身勝手な自分の推測を、私はしばらく信じつづけていまいます。
その自分の考えを変えてくれたのは、心理士さんの言葉でした。
「彼女が何を感じていたか、それは彼女にしか分からない」
そう、私に教えてくれました。