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子供の質問

アダルトチルドレンと教えてもらい、それからの日々の事など。

ミシンと家出、ペインターの冒険

 高校時代、私は「家出」をしました。

高校時代にも家の中に「戦争」はありましたが、
もうこの頃の私=ペインターは、それが戦争ではないことは分かっていました。
父の「いつもの発作」だと認識していました。高校の三者面談で、担任の先生の前で母に向かって言ったのは

「早くあいつを何とかしてよ!!」

かなり態度が悪かったです。

母には恥ずかしい思いをさせてしまったし、何より傷付けてしまいました。

私が家出をした日、高校何年生だったのか忘れてしまいましたが、たぶん日曜日。

父は出掛けていました。おそらくパチンコ。

ミシン屋さんが、セールスに来ました。
私はこの時、母にワガママを言ってしまいます。

ミシン屋さんが来たことを、グッドタイミング!と思いました。
当時の私はファッションに興味があり、手芸が好きで、縫い物が好きで、自分のミシンが欲しいと思っていました。

家には母のピンク色のミシンがありました。
私と兄の小学生時代の体操服袋、上履き袋、給食袋、本を入れる手提げのバッグ等は、このピンク色のミシンで母が作ってくれました。
しかし私が高校生のその時は、古いからかどうにも調子が悪かったと思います。

ミシン屋さんにミシンを見てもらって、
流行りのミシンを使わせてもらいました。
とてもワクワクしました。

母に、流行りのミシンを欲しがってしまいました。

「お父さんに相談してからね」

ミシン屋さんはパンフレットをくれ、帰ってもらったのですが、

父が帰って来てしまいました。

ミシン屋さんを "勝手に" 家にあげてしまったことで母が攻撃される…!

私は一瞬で理解しました。
しかし、その攻撃は、私が想像していた以上のものになりました。

エスカレートしていく父の言動に、私はただ怯えていました。
そして、母を壁に追いやりながら、蹴っていました。


まだその頃はモラルハラスメントなんて言葉は知りません。家庭内暴力といって思い浮かぶのは「肉体的な攻撃」でした。おそらく父は言葉の暴力、精神的暴力を振るってるのだろうとは思っていたけれど、肉体的な攻撃に比べれば…と、安心している部分がありました。

しかしこの日私の目に入ったのは、「肉体的な攻撃」を母に振るう父の姿でした。

ここからが、ペインターらしい…というか。

その時、私の中には3つの訴えかける感情がありました。


「やめて!お母さんが死んじゃう!」
…これは、【child】でしょう。

「終わった…」
…自分の世界が壊される光景を見た【ゴースト】。


そして、この二つの声と全く違う叫び。
おそらくこれが【ペインター】なのですが、

「こんな家、出て行ってやる!!」

今思い出しても不思議な感覚になります。

家を飛び出し自転車に乗り、私は恐怖の戦場から脱出しました。父が私の名前をとんでもない声量で叫んでいました。

しばらく車が入れないような道を選んで進みました。連れ戻される恐怖と戦いながら、とにかく前に進みました。childとゴーストは家の方角を向いていたでしょう。母を残して出てきてしまいましたから。

しかしペインターは前だけ向いていました。

そして私は、自転車をこぎながら次第に笑顔になったのを今でも覚えています。

"やったぞ!逃げてやった!ざまーみろ!"

"私は自由なんだ!捕まえてみやがれ!"

"あんな家に居てたまるか!"


有明海に行きたくなりました。
堤防から海…というか干潟が見たいと思い、有明海へ向かって進んでいました。

しかし、思いの外遠く、知らない道ばかりです。
以前遊びに行った友達の家を探しましたが、思い出せませんでした。

日が暮れて、辺りは暗く、気持ちも落ち込んだのを覚えています。中学の頃の悪夢を思い出し、辺りを注意深く見ました。カーブミラーもありました。


"逃げたところで、行く場所なんてないじゃないか"


そうやって、家の方角へ戻りましたが、帰れるわけがありませんでした。一体あの後どうなったんだろう。母は無事だろうか…。

暗がりの中、友達の家が見えました。
小学生の時転校してきた友達です。明るくて運動神経がよくて、それでもって絵が上手くて。みんなの人気者です。みんなの人気者なのに、よく私と遊んでくれました。彼女の笑顔が見たくなりました。


突然の訪問に、彼女は驚いていましたが、何か察してくれたようでした。それは、彼女のお母さんも、おばあちゃんも同じでした。

彼女の家に、母方の祖母が電話をしてきました。
私を捜していた母が、停めていた自転車を見つけたそう。

友達と一緒に、ベットで就寝しました。
私はなかなか眠れませんでした。


数日後、私は自分のミシンを買ってもらいました。
流行りのミシンではありません。

私は全然嬉しくありませんでした。


大人になった私が、この日のことを思い出すと、ペインターは悲しい感情をぶつけます。

両親に心配をかけたことを、後悔しているようです。

しかし私は、ペインターを否定しません。

ペインターの強い意志によって、私は行動し、それまで感じたことのなかった「自由」を感じることが出来ました。

何より私が家を飛び出したことによって、父は母を攻撃することから、私を捜すことに意識がシフトしましたから。私が逃げずにあの光景をただ見続ける…そちらの方が恐ろしい。。

それまで大人しく、自分に抵抗しなかった娘の大きな行動に、父が何を感じたかは分かりません。

しかし私はあの日、
自分がやりたいことをやれたのです。