《剣は持たなくていいから、盾を持って》
今朝「盾」についてその人物は話していました。
これから少しずつその人物の話をご紹介していくことにします。その人物が初めて現れた時のことは追々…
今回は、その人物が触れた「盾の話」を。
これは、その人物が現れて割と最初の頃の話です。
心理士さんはこの人物は
"パラレルワールドの住人なんじゃないか"
と言ってくれました。
2つのものを同時に理解することさ。
その根底には何より…理解したいという思いがある。うん。素晴らしい姿勢だよ。
君のお父さんはいつも二択をせまったね。
君のお母さんに、離婚するか、離婚しないか。
言うことをきくか、出て行くか。
いつも二択だった。
そして君のお母さんが選ぶのは、決まってお父さんのいいなり、とでも見れる一方だった。
君は二択しか選択肢がないと知る。いや、実際二択しかなかった。お父さんが提示したのは二択だったから。君は君の家で常に二択を迫られていた。
"悪いのはお母さんだ!" …そう、お父さんは言う。
だけど、君はお母さんが大好きさ。もちろん、お父さんのこともね。
悪いのはどっちだった?お父さん?お母さん?
君は静かに見ていた。聴いていた。一部始終。時には壁となって、時には天井となって。
そうさ。どちらも悪くない。
いや、どちらも悪い。
いや、どちらも正しい。
どちらの言い分も理解できる。
そしてどちらか一方を決めれない自分自身を、君は責め続けた。
喧嘩なんて、当事者の問題だろう?突然に目の前で騒いで怒鳴って落ち込んで泣いて…。君は何も悪くない。それなのに、君はそもそもの喧嘩の原因は自分じゃないか、自分さえちゃんとしていれば、自分さえ居なかったら、自分が、居なかったら、きっと平穏なんだ…そうして、君は自分の身体を傷付けたね。何度も。
身体の切り傷は治るさ。時間が経てば自然とね。
だけどどうだろう、君の心についた傷は、いつ癒えるんだい?一体誰が君を傷付けた?もうボロボロじゃないか。
痛めつけるところが無いほどにアザだらけじゃないか。
一体誰が?
それは誰でもないさ。強いて言うなら、盾が無かったんだ。君を守るものがなかった。
当たり前さ。君は子供だったんだから。
誰かに守られるべき時に、盾を準備している最中に、ことごとく攻撃を受けた。だからまだ盾が未完成なんだ。
剣は持たなくていいから、盾を持って。
どんな盾でもいい。
色カタチ、君の好きなようにするといい。」