【child】子供の戦争
小学生の頃の私は、図書室でよく読んでいた本のジャンルがありました。詩集や、ベートーベンやモーツァルト、ヘレンケラーといった偉人の伝記漫画もよく読んでいたのですが、それよりも興味深く読んでいたのは
「戦争」
戦争についての絵本や漫画です。
地雷によって苦しんでいる子供達がいる、そして今もなお戦争というものが世界で行われているということを知りました。「はだしのゲン」は、当時子供だった私には強烈な描写でしたが、読んでよかったと思っています。
日本での戦争で大きな出来事というのは、広島・長崎に落とされた原子爆弾でしょう。私は小学生の時に長崎、中学生の時には広島の原爆資料館へ行きました。どちらも修学旅行にて。この二つの資料館へ子供時代に行くことが出来たのは、大人になって思うと非常に貴重なことです。
なぜ戦争についての書物に興味を持ったのか…よく分かりません。
しかし、モラハラの記事で触れたように、当時子供の私は正義と悪について深く考えていました。おそらく、戦争がなぜ起こるのか、争いはなぜ無くならないのか…そんな疑問の答えを探そうとしていたのかも知れません。そして子供の私の頭に浮かんだのは
"私の家の中は戦争中なのかも知れない"
なぜなら、家の中には「かなしい」が溢れていました。
母の悲しい顔、兄の悲しい顔、そして父の悲しい顔。
明るいはずのリビングは、私にはとても薄暗いものに感じられました。
大きな音がとても際立って聴こえます。
テーブルを叩きつける拳の音、
父の大きな怒鳴り声、
扉を閉める大きな音、
そのギャップからか、静かになると次はどんな音が聴こえるのだろうかと、ビクビクしていました。おそらくこれは「不安」でしょう。しかしそれは同時に「恐怖」でもありました。
その戦争は毎日ではありません。
何もない日もあります。そんな日はリビングはちゃんと、明るく感じられました。
しかし、しばらくするとまた戦争が始まります。
戦争が始まる度に、私はビクビクしていました。
そして次第に身体が痛くなるのを感じました。
テーブルを叩きつける拳の音は「大砲の音」
扉を閉める大きな音は「銃声」
そして父から発せられる言葉ひとつひとつは
子供の私の身体に突き刺さる「ナイフ」になりました。
そんな戦争の戦場は夕食の食卓です。
夜はなかなか眠れませんでした。
ベットの下…というより、枕元からも銃声が聴こえて来ているような気がしました。
私の部屋は両親の部屋の上にあります。父が母に対して、乱暴な言葉を放っていました。
その乱暴な言葉を放つ父の声は、
とても鋭く尖っていました。
朝になると、空は明るく、太陽は輝いています。
みんなそれぞれ、会社、学校に向かいます。
私は世界の終わらない戦争について考えます。
学校に通えない子供達が居ます。
今日生きるか死ぬか分からない子供達が居ます。
私は今から学校に行きます。
学校で勉強をして、休み時間はお絵描きをします。
たぶん、今日私が死ぬことはないだろう…
お昼は学校で、友達と給食を食べます。
"なんでだろう?"
"どうしてだろう?"
世界には「恵まれない子供達」がいるのに、
自分と同じ年齢で今日死ぬかも知れない子供達がいるのに、
なんで自分はこんなに苦しんだろう、痛いんだろう。怪我もしていないのに…。
お父さんもお母さんもお兄ちゃんも生きてるのに、
日本は平和なのに、
どうして自分の心は